放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、テレビ局“直営”のアナウンススクールに注目。
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現在、『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)に主演している岩田剛典が慶應義塾大学在学中に日本テレビのアナウンサー試験を受けていた話は複数のバラエティー番組でネタにされている。
その中の一本、『1周回って知らない話』(同)の中で、岩田は、「失礼だった」と反省をこめて振り返りつつ、その理由を「一般企業の入社試験に比べて圧倒的に時期が早かったため、力試しのつもりで受けた」と明かした。
ちなみに、もしも合格していたら同局の徳島えりかアナと同期になっていたそうだ。
確かにアナウンサー試験というのは一般企業はもちろん、テレビ局内の他部署と比較しても早く、「青田買いではないか」と言われかねない時期に内定が出るものだ。
在京局でも、「初鳴き」(“声出し”とも呼ばれる=初めてオンエアに声がのること)がレギュラー番組に直結するようなケースが増えているし、地方局では入社を待って、すぐに看板番組のアシスタントに就くような女子アナもいる。
当然、研修期間も前倒しとなり、かつては「色がついている」と嫌われていた“アナウンススクール卒”の学生たちが有利となる。
そのアナウンススクールも、いつ頃から通うのがベストかという“逆算”まで存在する。アナウンススクールで勉強しすぎると、自分の読みに酔ってしまい、妙なイントネーションがついたり、喋り出しに「厳禁」とされる、小さな「え」がついてしまったりするのだという。
確かに、喋り出しに「え」をつけると、読みがうまく聞こえているのではないかという錯覚に陥り、本当にそれが癖になってしまうアナ予備生がいるらしい。
アナウンススクールは、その昔は『東京アナウンスアカデミー』なる老舗があり、その後、著名なフリーアナウンサーが筆頭に名を連ねる芸能プロダクションが経営するスクールが続々増えていき、現在は、在京テレビ局の冠がついたアナウンススクールが花盛りだ。
草創期のアナウンススクールにもテレビ局やラジオ局から職人気質のアナウンサーが講師に訪れ、厳しい指導をしていたものだが、テレビ局直営のアナウンススクールは、テレビでよく見て知っている人気アナが講師に名を連ねることで人気である。
なかでも、1999年、テレビ朝日の100%出資によって設立された『テレビ朝日アスク』は、1000名以上の卒業生が全国のテレビ局、ラジオ局で活躍。6年連続で放送局内定者が100人超の「合格実績No.1スクール」なのだという。
歴代の校長やゼネラルマネジャーは、松苗慎一郎氏、川瀬眞由美氏、松井康真氏、寺崎貴司氏…と、同局の看板番組やニュース、朝ワイド、夜ワイドのMCとして人気を博したお馴染みのアナウンサーばかりだ。