今国会では「働き方改革関連法案」が議論されているが、なかでも注目を集めるのが「医師の働き方改革」である。医師の時間外労働は原則、月45時間に制限される予定だ。現行では労使協定(三六協定)を結べば、時間外労働は無制限だったが、これも月平均60時間(単月で100時間未満)までに制限されることになる。
医師の残業を減らすための方策として挙げられているのが「複数主治医制」だ。複数主治医制で“主治医がコロコロ替わる”一方で、逆にジャンルの異なる病気を一人の医師が診るということも起こり得る。
たとえば、頭痛で病院に行って医師に薬を処方してもらったついでに、同じ医師に腰痛の具合や水虫まで診てもらうという、まるで離島の診療所に来たかと錯覚するような状況になる。
これは今年4月に新設された「総合診療専門医」制度である。高齢化によって複数の合併症を持つ患者が増えたことから、複数の診療科をまたいで診られる「総合診療専門医」を創設し、そうした患者を1人の医師が1回で診察できるようにして、効率化を図ろうとしたのだ。
「総合診療専門医」は全国の大学病院などを周り、約3年の研修を重ねた医師が認定され、名乗ることができる。
何科を受診したらいいのか判断に迷うような症状の患者に対して診察および初期対応をし、自分で手に負えない場合は、より最適な専門医を紹介するとされている。
なんでも診てくれる“スーパードクター”のように見えるが、実は違う。医師でNPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏はこう指摘する。