自身が司会を務める『Rの法則』(NHK Eテレ)で知り合った女子高生を自宅に呼び出し、強引にキスを迫ったことを発端とする山口達也(46才)の騒動。山口は現在、関東にある病院に入院している。アルコール依存症を疑う声もあったが、山口は長く躁鬱病と闘ってきたという。
◆話し続ける、性的に奔放になる
正式には「双極性障害」という躁鬱病は入院が必要になるほどの激しい躁状態を伴う「I型」と、長い鬱期間と軽い躁状態を伴う「II型」に分けられるが、II型が進行するとI型になるというわけではない。日本人における躁鬱病患者の割合は、I型・II型合わせて1000人に4~7人とされている。
欧米人の有病率は100人に2~3人とされる。今年4月にはマライア・キャリー(48才)が17年前から躁鬱病に苦しみ、最近治療を始めたことをカミングアウトし、「最近まで否定と孤独の中で生きてきた」と語った。
マライアの場合は、鬱の期間が長いのに、気分が高揚する軽躁を伴うために病気がわかりにくかった「II型」と診断された。一方、精神科医の片田珠美さんは「山口さんはI型ではないか」と指摘する。
「双極I型は一般に、短期間で躁と鬱が入れ替わるわけではありません。少なくとも1週間以上は躁状態が続きます。I型は遺伝的な要因が大きいといわれますが詳しい発症メカニズムは明らかではなく、環境的要因も指摘されます。
現代社会は離婚や失業などの喪失体験が多いので、落ち込んだ気分を挽回しようとカラ元気を出して振る舞うことが多い。これを『躁的防衛』といいますが、それを繰り返していると、躁鬱病を発症しやすいと考えられます」
10代で発症する人も少なくないが、双極性障害と診断されるまでに長い時間を要するケースも多く、平均発症年齢は男女共に30才だという。
「更年期の女性が発症するケースも典型的です。その時期の女性は若さによる自信を失い、さらに、閉経して“自分はもう女ではないんだ”と落ち込みます。子供が自立すると、母としての役割を果たす必要もなくなります。それで妻や母親としての役割を失ったと思い悩み、憂鬱や不安に苛まれます。その状態で『躁的防衛』を起こして躁状態になると、エステや習い事に熱心に通いつめたり、そうした趣味の場で出会った男性に強い恋愛感情を持ったりすることがあります」(片田さん)
この病気のおそろしいところは、本人は“気分がいい”ので、病的な状態にあることに気づきにくいということだ。
双極性障害の「躁状態のサイン」とはどんな行為なのか。厚生労働省HPや専門家の見解などによると、たとえば以下の9項目が挙げられる。
●睡眠時間が2時間以上少なくても平気になる《睡眠欲求の減少》
●寝なくても元気で活動を続けられる《活動性の亢進》
●人の意見に耳を貸さない《誇大妄想》
●話し続ける《多弁》
●次々にアイディアが出てくるがそれらを組み立てて最後までやり遂げることができない《観念奔逸》
●根拠のない自信に満ちあふれる《自尊心の肥大》
●買い物やギャンブルに莫大な金額をつぎ込む《浪費》
●初対面の人にやたらと声をかける《社交性の増加》
●性的に奔放になる《性欲の亢進》
普通の生活をしていても、誰しもが1つは当てはまりそうだが、3つ以上当てはまるようなら要注意だ。