いよいよ1年後に迫る天皇陛下の退位と皇太子さまの即位。退位、即位に関する行事について急ピッチで準備が進められているなか、両陛下が1990年11月の即位パレードで使用されたオープンカーが、走行できない状態で宮内庁に保管されていることが報じられた。
「イギリスのロールス・ロイス社製で、約4000万円で購入された特別仕様車ですが、使用されたのは両陛下の即位と、1993年6月の皇太子ご夫妻の結婚パレードの2回きり。すでに車検も切れ、メンテナンス用の部品も手に入らないのが理由だということですが、イギリス本国であれば部品も揃い、修理すればまだ走れるという意見もあります。そうなれば、3回目のお目見えの可能性もあると思います」(皇室記者)
退位、即位の儀式について、より具体的な議論が進められていくタイミングでされた、オープンカーの「走行不可能」報道には、「両陛下の『退位パレード』が検討されているのではないか」と思い至った人も多かったようだ。
1959年、高度経済成長期のまっただ中で行われた陛下と美智子さまのご成婚パレードは、皇居から東宮仮御所のあった現在の常陸宮邸(渋谷区)までの約8.8kmの道のりに約53万人が詰めかけた。テレビ放送はその6年前に始まったばかり。全国の街頭テレビでは、1500万もの人が固唾をのんで50分間のパレードの様子を見守った。
1990年に行われた即位パレードでは、皇居から赤坂御用地までの約4.7kmの沿道に、約11万7000人の人垣ができた。バブル景気に沸き、世界経済を日本が席巻していた頃、新時代は両陛下のパレードで幕を明けた。
「両陛下の2度のパレードは、そのときそのときの時代を切り取って、多くの国民の心に焼き付きました。これまで日本のために、そして国民のために身を粉にして象徴としての務めを果たされてきた陛下と、それを最も近い場所で支えられてきた美智子さまの有終の姿を見たいと願う声も根強く聞かれます」(前出・皇室記者)
ところが、美智子さまはそんな“世論”とは反対のお気持ちだという。
「美智子さまは、“退位にまつわる儀式はできるだけ簡素に”というお考えをお持ちだといいます。パレードについても、費用面や関係各所の負担に加え、交通規制などによる一般への影響を考慮して行わないというご意向だそうです」(宮内庁関係者)