日々のニュースのなかにも学びはある。浮上した問題について、我が身に置き換えて考えるか否かで違いは大きくなる。コラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。
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もはや、ひとつの大学のひとつの部の話では止まらなくなっています。話がこじれ続ければ、あの大学の来春の受験者数は大幅に減少するでしょう。いわんや「危機管理」を看板にした学部をや。あの競技にも、すっかりマイナスのイメージが付いてしまいました。あの競技のOBは、聞かれなくても「じつは学生時代は……」と言いたがるタイプが多い印象がありますが、今は口をつぐんでいることでしょう。ああ、なんて罪作りなのか。
今回の件は、さまざまな教訓を与えてくれています。どういうつもりかはわかりませんが、肝心の責任者が雲隠れして表に出てこないことが、相手方や世間の印象をどんどん悪くしました。「謝るなら早いほうがいい」というのが危機管理の基本中の基本。しかし残念ながら、本人がご存じなかっただけではなく、周囲も何も言えなかったようです。
「責任者」がその呼び方に反して責任を認めようとせず、立場が弱い学生にすべてを押し付けようとしているところも、火にガソリンを注ぎまくっています。騒ぎが大きくなって、やっと「直接謝罪に行く」と言い出したようですが、遅きに失した感は否めません。
日々、さまざまな呆れたニュースが流れてきますが、ニュースを見ていて腹を立てているだけでは不愉快になり損です。どうせなら貪欲に果敢に、おっさんとしてのスキルを磨く具体的なノウハウを見出してしまいましょう。
今回の件を含む最近のたくさんのゴタゴタから、全おっさんが学びたいのは、次の3つのセリフを使ってはいけないということと、そのセリフやそのセリフを平気で使うヤツを信じてはいけないということ。3つのセリフとは、これです。
【1】「責任は俺が取る」
【2】「指示した覚えはないが、受け取り方に食い違いがあった」
【3】「誤解を招く点があったとしたら、お詫びしたい」
もしかしたら、上司の口からしばしば聞くセリフではないでしょうか。あなた自身も、カッコイイつもりで【1】を言ったり、あるいは【2】、や【3】を言えば逃げ切れるような気がして、口にしてしまっているかもしれません。言うまでもなく、それは大きな勘違いです。