制裁逃れを支えるのは、世界中に張りめぐらされた北朝鮮のネットワークだ。
例えば中国から中東に禁輸物資を送る場合、彼らはカンボジア籍船舶の貨物船をチャーターして香港の企業に運行させ、代金決済にシンガポールの金融機関を使う。一連のプロセスに北朝鮮という国名は一切出てこないため摘発が難しい。
●ふるかわ・かつひさ/1966年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1998年ハーバード大学ケネディ政治行政大学院にて修士号取得。1999年読売論壇新人賞優秀賞受賞。科学技術振興機構社会技術研究開発センター主任研究員などを経て、2011年から4年半、国連の「専門家パネル」委員を務める。その経験をまとめた『北朝鮮 核の資金源「国連捜査」秘録』(新潮社)が話題に。
※SAPIO2018年5・6月号