「政治家は言葉が命」といわれる。その“命”を粗末に扱って批判を浴びているのが“失言王”こと麻生太郎・財務相兼副総理だ。
「セクハラ罪という罪はない」「はめられたんじゃないか」「どの組織だって改竄はありえる話だ」
放言三連発。そのたびに国会で謝罪し、発言撤回に追い込まれた。しかし、政治家の言葉というなら、安倍首相の「断言癖」の方が影響の深刻さにおいて麻生氏の失言をはるかにしのぐ。
「最高の責任者は私だ」
勢いに乗っている時の首相は“俺は何でもできる”と歴代政権の憲法解釈を変更し、国民には実行困難な目標をたやすく実現してみせると約束する。そのとき多用するのが、「最高」「必ず」「一切」「全員」といった強調表現だ。
しかし、ひとたび守りに回ると自分の言葉に縛られてしまい、状況の変化に応じた決断ができなくなる。
米朝首脳会談に向けて関係国が駆け引きを展開している対北朝鮮外交は、本来なら、「拉致の安倍」を自任する首相にとって一番の見せ場のはずだが、ここでも「断言癖」に手足を縛られている。