名前を外国でどう表記するのかは、正解がなかなか見えない難しい問題だ。日本人の名前をアルファベット表記にする場合は、ローマ字表記の方法にあわせるのが普通だ。ところが、そういった原則を無視して英米人風に置き換える方法が、韓国では通常らしい。評論家の呉智英氏が、グローバルな観点からの名前の表記について考えた。
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五月九日、北朝鮮に拘束されていた三人のアメリカ人が解放された。先行きには不安がありすぎるけれど、まずは明るいニュースだ。
この三人、少し前の先行報道ではただアメリカ人とだけしか分からず、漠然と白人、あるいは黒人だろうと思っていたが、三人とも朝鮮系アメリカ人だった。実業家だったり研究者だったりで、米国籍を有しつつ北朝鮮で仕事をしていたらしい。いずれもなかば冤罪で拘束された。名前は、キム・ドンチョル、キム・サンドク、キム・ハクソン。朝鮮名である。
各紙一斉に報じた中、興味深かったのは、朝日新聞と産経新聞とで名前の表記法が違っていたことだ。朝日は、キム・ドンチョルなど姓・名の順、産経は、ドンチョル・キムなど名・姓の順。
一般に東洋人は姓・名、欧米人は名・姓である。ただ、この三人は国籍Nationalityはアメリカ人、民族Ethnicは朝鮮人であるから、両様の表記になった。朝日が民族派、産経がアメリカ派、てことはないだろう。だって、両紙とも他の記事では、不徹底だから。