5月16日急性心不全のため死去した西城秀樹さんを惜しむ声が絶えない。テレビ各局は連日、その足跡を振り返っている。日本テレビ系では『紅白歌のベストテン』、TBS系では『ザ・ベストテン』、フジテレビ系では『夜のヒットスタジオ』と昭和を代表する歌番組で熱唱するシーンが繰り返し放送されている。
ワイドショーなどが西城さんの功績を紹介する際、よく言及されるのは、1978年から1989年まで放送された『ザ・ベストテン』でただ1人、満点の「9999点」を弾き出した歌手だったという点だ。『YOUNG MAN(Y.M.C.A)』は1979年3月15日から5月10日にかけて9週連続1位を獲得。4週目の4月5日、5週目の4月12日に9999点を記録した。
“唯一の快挙”という言葉が示すように、『ザ・ベストテン』で満点を取ることは至難の業だった。同番組にディレクターやプロデューサーとして関わった故・山田修爾さんの著書『ザ・ベストテン』(ソニー・マガジンズ)を参照すると、同番組は(1)レコード売上、(2)ハガキリクエスト、(3)ラジオチャート、(4)有線放送を集計し、順位を決定していた。
そして、4部門毎に1位30点、2位29点……30位1点として加点。(1)~(3)を30%ずつ、(4)を10%の割合(時期によって誤差あり。当初はハガキリクエストが最も高かった)で、順位を決めた。具体的な計算方法は、有線1位なら30点、それ以外の3部門で1位なら90点。4部門全て1位になれば、300点になる。これを33.3倍し、満点ならば9999点になる方式を取ったのだ。
33.3倍にした理由を、山田は前掲著で「3ケタより4ケタのほうが画面上見栄えがいい」「アナウンスも響きが良いと演出上判断した」と綴っている。芸能記者が話す。