都市部で乗降客の多い駅ともなれば3つのメガバンクが揃って支店を構え、自前のATMに人の列ができる──そんな当たり前だった光景が「ATM共通化」によって大きく変わることになるかもしれない。
5月11日に読売新聞が朝刊で〈3メガ銀 ATM共通化 数年内実現へ協議入り〉と報じると、他メディアも追随。みずほ銀行は当面、グループ内の新システムへの移行作業を優先させるが、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は共通化の検討に入ると相次いで報じられた。
なぜ、今なのか。その問いを深めていくと、「銀行ビジネス」の在り方が、重要な“岐路”に立たされていることが浮かび上がってきた。
「共通化にあたってのハードルは低くない」とするのは金融ジャーナリストの森岡英樹氏だ。まずシステムや開発を手がけるメーカーが異なる。
「ATMの調達先は各行1社ないし数社で限定されています。統廃合で入り乱れているものの、三菱UFJは富士通、三井住友やみずほはOKIが中心で、日立はまんべんなく入っていたりする。各メーカーはメガバンクから融資を受ける立場でもあるので関係は深い。
それゆえ、共通化ともなれば、主力メーカー3社による共同開発にならざるを得ないが、その際、どの会社の仕様をベースにするのか、主導権争いが起きるのは間違いないでしょう」(森岡氏)