鈴木:近鉄の天皇と呼ばれた佐伯(勇)オーナーは関西では重鎮でどこにいっても上座に座られる。ところがオーナー会議だけは成績が悪いから末席。それが屈辱で、激励会では「今年こそは」を連発しておられた。これを知ったときは頑張らないかんと思いましたね。
米田:電鉄球団でよかったのは、国鉄と私鉄が社員証で乗り放題だったこと。ボールやバットを担いで電車移動していた。あと宝塚歌劇関係者と新年会があり、それが縁で3人の先輩がタカラジェンヌと結婚している。阪急で誇れるのはこれぐらい(笑い)。
鈴木:阪急が身売りをした時、私鉄が球団を持つ時代は終わった。古き良き時代の終焉でした。
門田:大阪球場の中に住宅展示場が出現したときは、悲しさを通り過ぎて涙も出なかったなァ。
【プロフィール】
◆よねだ・てつや/1938年鳥取県生まれ。1956年阪急に入団。1年目から9勝を挙げ、2年目に21勝でエースになって以来、19年連続で2ケタ勝利を記録。通算350勝(歴代2位)。
◆すずき・けいし/1947年兵庫県生まれ。1965年ドラフト2位で近鉄入団。ルーキーイヤーに10勝を挙げ、翌年からエースとして5年連続20勝をマーク。通算317勝(歴代4位)。
◆かどた・ひろみつ/1948年山口県生まれ。1969年ドラフト2位で南海入団。40歳では40代での史上最高成績となる44本塁打と125打点で2冠獲得。通算2566安打(歴代4位)。
※週刊ポスト2018年6月1日号