2年後に迫った東京五輪に向けて、競技以上に注目を集めるのが開会式だ。どんな演出で日本の魅力をアピールするのか、期待は膨らむ一方だが、それを生で目撃できるのはごくわずか。現在建設が進むメインスタジアム(新国立競技場)の収容人数約8万人だけだ。
超プレミアチケットだけに争奪戦は必至だが、参戦する条件が厳しすぎる。なんとチケットの値段が最高28万8000円にもなるというのだ。
5月15日の朝刊で各紙が一斉に報じたが、なぜこんな高額に? 東京五輪パラリンピック組織委員会・戦略広報課担当者はこう答えた。
「正式に決まった金額ではありませんが、集客に関して優秀な成績を収めた2012年ロンドン五輪を参考にしているのは事実です(ロンドン五輪開会式の入場券がほぼ同額)。ただ、高いチケットがある分、安いチケットも用意することができます。より多くの人に見ていただけるような価格設定をしたいと考えています」
安いチケットは2000円台が想定されているという。同じ会場なのに、チケットに100倍以上もの価格差があるとは、五輪が唱える「平等の理想」よりも「格差の現実」を訴えようとしているのか。
しかも、ただでさえ高いチケット代が、“ダフ屋”によってさらに跳ね上がる可能性があるという。実際に前回夏季大会の2016年リオデジャネイロ五輪ではダフ屋行為によって4600レアル(約15万円)の開会式入場券が3万8000レアルで売られていた。実に正規の値段の8倍超である。
経済ジャーナリストの森永卓郎氏は、「東京五輪でも転売によるチケットが異常に高騰したり、プレミア化することは十分にあり得る」という。リオと同じ事態になれば、100万円どころか200万円を超える可能性もある。