東京・恵比寿の『阿波屋酒店』。大正10年(1921年)創業で、もうすぐ100年を迎えようかという名門だ。
先代(3代目)の頃は角打ちとは無縁だったが、4代目の峯村妙子さん(39歳)が「私が継いだら、絶対に角打ちのできる店にしたいと、ずっと父に言っていた」と、2年前に夢を実現させたのだ。
店の名は創業100年の衣をわざと脇に置いて『JOLLYS(ジョリーズ)』とした。
米フロリダやカリフォルニアに語学留学の経験がある妙子さんが、サーファーのご主人・幸(みゆき)さん(39歳)と共に、酒・サーフミュージック・海をコンセプトに改装したというだけあって、アメリカ西海岸やハワイのテイストが色濃く漂っているのだ。
「JOLLYは、”愉快な”とか”お酒を飲んだときほろ酔いでご機嫌に”という意味なので、この店にはぴったりの名前でしょ。Sをつけたのは、みんなで一緒に、ってことで。奥のカーテンの向こう側はライブスペースだし、地下はリハーサルスタジオになっているんですよ。こんな角打ち酒屋、日本初だと思います(笑い)」(妙子さん)
恵比寿で働く人も住まう人も、日本人も外国人も、この“ジョリーズ”な角打ちに心をわしづかみにされたようだ。
「ほろ酔いになるとね、目の前の明治通りがビーチに見えてくることがあるんですよ。信じられませんか?でも、飲むうちにわかりますよ。これがこの店でしか味わえないうれしい感覚なんです」(30代、通信系)
「家が近所なので、角打ちができるようになった最初の日から来ています。恵比寿らしいこんな洒落た店で安くてうまい酒が飲めるんですから、家飲み回数はぐっと減りました。年をとってもこのまま馴染みでいたいですね(笑い)」(40代、IT関連)