満員御礼が続いた大相撲5月場所。先場所とは異なる様々な“異変”が起きていた。6日目の取組で上腕二頭筋を痛めて休場に追い込まれた新小結・遠藤。手術となれば復帰までに半年は要する大ケガながら、痛み止めの処置のみで10日目から再出場を選んだ。
CMに起用する永谷園以上にこの強行復帰を歓迎したのは日本相撲協会だった。
「9日目に大関・豪栄道の休場が発表され、横綱・稀勢の里、大関・高安は全休。三役以上が4人も欠けたら、本来は上位陣が潰し合う後半戦で横綱や関脇に下位力士を当てることになる。休場明けの遠藤をいきなり白鵬と対戦させたのも“また休む前に横綱と当てよう”という意図が垣間見えた」(ベテラン記者)
そして注目を集めたのは、大関昇進の目安とされる直近3場所で33勝以上を楽々クリアした栃ノ心。ただ、その理由の一端も“休場ラッシュ”にある。7日目、前半戦最大の関門とされた遠藤との一戦は不戦勝。1横綱2大関との対戦がないまま白星を重ねた。
「32歳の豪栄道に代わる大関が必要なため、協会内では“三役以上の半分が不在なのだからハードルを上げるべき”といった声はなかった。“下駄を履かせた”わけです」(協会関係者)