大相撲5月場所がおこなわれた国技館は、連日満員、栃ノ心の大関昇進など賑やかな話題に事欠かなかった。幕内の若手で注目株は、24歳の阿炎(前頭2)だ。6日目、初挑戦した横綱・白鵬を一方的に押し出し、翌日は大関・豪栄道をはたき込みで破った。初場所新入幕の会見で「三賞を独占したい」と口にした“大物”が実力を見せつけた。
「“あび”という独特な読み方は錣山親方(元関脇・寺尾)のあだ名が由来だ。先代親方(元関脇・鶴ヶ嶺)の現役時代、井筒部屋を見学にきた外国人が、赤ん坊だった寺尾を見て“ア・ベイビー”と呼んだのを兄の鶴嶺山と逆鉾(現・井筒親方)が“アビ”と聞き違えたことで、以降愛称に定着した」(ベテラン記者)
国技館では連日、小結・御嶽海が土俵に上がると、客席は四股名の入ったタオルで埋め尽くされる──なぜここまで人気なのか。
「地元・長野からツアーで駆け付けました。場所中は毎日、バスが出ています」とタオルを振る客の一人。
長野県は、元幕内の大鷲が引退した1978年以来、47都道府県で最も長い37年間、関取が不在。地元からは江戸時代の雷電以来となる大関昇進の期待は膨らむ。売店によるとタオルの“売り上げ番付”ではすでに「横綱」だという。
そして先場所と同じ“異変”が続いている事象もある。立行司・式守伊之助が昨年12月の冬巡業でセクハラによる出場停止処分を受けているため、今場所も横綱の取組を三役格行司の式守勘太夫が裁いた。