歯科医で治療すれば一安心、と思うなかれ。虫歯が原因で骨が溶けることさえあるというのだ。というのも、“治療”したはずの歯が、さらに大きな問題の原因となることが少なくないからだ。『やってはいけない歯科治療』著者で、ジャーナリストの岩澤倫彦氏が患者に知らされてこなかったリスクをレポートする。
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虫歯が進行すると、歯の中心部を通る根管の中にある歯髄(神経や血管)に感染を起こして壊死させ、周囲の骨まで感染は及ぶ。
「根管治療」は、根管内から感染した内容物や象牙質内壁を削り取って除去、ガッタパーチャと呼ばれるゴムで封鎖する処置だ(その後、上部に銀歯などをかぶせる)。「根の治療」とも呼ばれる。
“歯の命を守る最後の砦”というべき重要な治療だが、保険の診療報酬はなぜか低い。そのため、短時間で済ませる手抜き治療が一部に蔓延した。歯科医なら、治療がきちんと完了したかはレントゲン画像を見れば一発で分かるが、患者には判断できない。
また、根管治療に際して必要な「ラバーダム」というゴム製シールドを使用しない歯科医が多く、歯の寿命を縮めていた。
◆感染を放置すると「骨が溶ける」
画像をご覧いただきたい。CTデータをもとに再現した患者の骨格3D画像だ。虫歯の進行によって感染が広がり、鼻の下まで骨が溶けた状態になっている(丸で囲んだ部分)。歯科医によっては、迷わず「抜歯」を宣告するケースだ。