プロ野球、パ・リーグ首位をひた走る埼玉西武ライオンズが“山賊打線”を擁して交流戦に殴り込みをかける。チーム打率、得点ともにリーグダントツ。5月に入って勢いがやや衰えた感はあるが、依然12球団ナンバーワンの強力打線であることは間違いない。
“山賊打線”という呼び名の由来は、西武の前身・太平洋クラブライオンズ時代の1975年に遡る。この年、プレーイングマネジャーとしてチームを率いた江藤慎一は、ガッツあふれるプレーが信条で、闘将とも呼ばれたファイタータイプ。ユニフォームの後ろのポケットにバットを突っ込む、ワイルドなスタイルでも人気を集めた。
その江藤を中心に、荒くれ者が揃ったチームは、本塁打王の4番・土井正博、首位打者の5番・白仁天も打ちまくり、打率.261(リーグ1位)、本塁打135本(リーグ2位)を記録する。開幕から40試合で、19度も2桁安打を記録する今年のライオンズ打線は、その再来というわけだ。西武の嶋重宣・打撃コーチは、好調の要因を若手の成長によると分析する。
「昨季、辻発彦監督は山川穂高や外崎修汰といった若手選手を我慢しながらも起用し続けました。その経験が今年に生きているのだと思います。
打撃コーチとしては選手たちに、とにかく強く振ることを徹底して指導しています。長距離打者だろうと中距離打者だろうと、アベレージヒッターだろうと、強い打球を打てるに越したことはない。違いはゴロなのかライナーなのかフライなのか、打球の角度だけです」