5月29日のソフトバンク戦で出場する機会がなく、歴代2位の1939試合で連続出場記録がストップした阪神タイガースの鳥谷敬(36)。打棒が振るわぬ彼を起用し続けるか、勝利を優先すべきか、難しい判断を迫られていたのが、同歴代3位の金本知憲監督だ。同じチームで、同じ記録を追った立場であったことは、その判断に影響したのだろうか。
辛口で知られる野球評論家の江本孟紀氏は、監督経験がない。だからこそ、鳥谷の連続出場記録継続中の間、本誌・週刊ポストに対し直截的な言い方でこう語っていた。
「このままズルズルと出場し続けてもしょうがない。期限を決めて、ダメなら切るのがいいんじゃないですか。
日本記録を抜くのは2020年という。まだまだ先なのに何を言うとるんかと思いますが、監督が決断をしにくいのも事実でしょう。金本の連続出場記録は、代打で出場した際に走者が盗塁死して、打席が完了しないまま交代して途切れた(2011年)。あの時のように、“アクシデントで止まってくれれば……”というのが本音じゃないですか」
実際には29日の試合で、金本監督が「今日は(鳥谷を)出す場面がなかった。いつまでもというわけにもやっぱりいかないですから」と判断し、記録はストップした。
記録ストップには、ファンも納得する結論が求められるのは確かだった。“タイガース機関紙”デイリースポーツの元編集局長・平井隆司氏は、やはり記録ストップ直前に「記録のために成績を度外視して出場するのは、選手にとっても納得がいかないでしょう」と語っていた。熱烈な虎党の関西大学大学院教授・宮本勝浩氏も、「心苦しいが、阪神ファンとしてはチームの勝利が一番。記録を優先して勝てないのでは本末転倒」と指摘していた。
阪神OBの藤田平氏は、自らの経験を踏まえて、鳥谷にこうアドバイスしていた。
「選手は球団と契約しているのであって、監督と契約しているわけじゃない。選手と監督、そして球団の3者で話し合うしかない。
僕が引退する時は、秋季キャンプで(安藤統男)監督から『コーチをやってほしい』と引退を通告され、球団を交えて話し合うようお願いしたが、球団は最後まで逃げたので、最終的には自分で引退を決意した。鳥谷には『僕と同じようになるな』と言いたいし、球団には『同じ過ちを繰り返すな』と言いたい」