ビジネス

築地本願寺が大規模納骨堂開設 “ブランド寺院”の狙いは

築地本願寺の「合同墓」内にある礼拝堂

 これまで経験したことのない超高齢化社会の到来を前に、お墓のあり方も大きく変貌を遂げている。その象徴が、最近、車内広告や新聞の折り込みチラシで見かけることが多い“ビル型納骨堂”だ。中でも、お参りする際に遺骨が自動で運ばれてくる機械式納骨堂は、都心を中心にブームとなっているが、果たして問題はないのか。ノンフィクションライターの井上理津子氏が、そんな納骨堂の内奥をレポートする。

 * * *
 自動搬送式の納骨堂の建設には、数十億円が必要とされる。墓地や納骨堂の運営は、自治体以外では宗教法人か公益法人に限られているが、そんな大金を寺が単独で賄えるはずがない。

「名義貸しに近い状態です。当寺にも自動搬送式納骨堂の業者から営業が相次ぎ、海外の投資家もついていると案内されましたが、私には机上の空論としか思えなかった。借金を背負い、失敗したら寺はつぶれる。しかも、もう供給過多。リスクが大きすぎ、断りました」

 こう話すのは、渋谷区のある住職だ。巨額の初期投資の回収は、業者と分け合う墓の販売収入が頼りである。規模にもよるが、業界では「月80基の販売がボーダー」と囁かれる。計画どおりの販売が続く保証がない上に、メンテナンス費用も相当かかる。

「供給過多」については、2016年の死亡者数は全国で約130万人。「多死社会」に向かっているが、2041年に165万9000人(国立社会保障・人口問題研究所推計)のピークを迎えた後、減少の一途をたどる。大阪、名古屋、福岡など地方の拠点都市にも増える勢いの自動搬送式の納骨堂だが、長期的にみても大丈夫なのだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン