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石田衣良「不倫叩きをやればやるほど命のエネルギー衰える」

男と女の性欲に違いはない、と語る石田さん(撮影/平林直己)

 女性セブンで連載中の漫画『恋する母たち』。女性として恋愛に身を投げていく母親たちを描いたこの作品の単行本1・2巻同時発売を記念して、作者の柴門ふみと恋愛小説の第一人者である石田衣良とのスペシャル対談を行った。不倫というものは昨今叩かれる傾向にあるが、そこには「毒」がある。これについて石田氏はこう切り出した。

石田:でも、体の中に毒って溜めない方がいいと思う。40代の女性の欲望も、ある意味、じっくり効く毒みたいなところがあるじゃないですか。ずっと溜め込んだまま歳を重ねて、それでいいんですか、って。

柴門:でも女性は相手を好きになると踏み込みたくなって、そこでまた1つ面倒が起きちゃうから。なかなかうまくいかないですよね。女性は好きという感情が伴わないと触れられるのもイヤなので、女性向けの風俗は難しいし。

石田:いやいや、女性向けの風俗はこれから成長産業ですよ。よくみんな、男と女は違うと口では言うけれども、心の底ではそんなに違わないとわかっています。元からある欲望や性欲の量は同じなんだけど、その出方が柴門さんのおっしゃるようにちょっと違うというだけであって。生きる上で根源にあるどろどろしたエネルギーは変わらないと思うんですけれどね。この“欲望エネルギー”は大変な獣ですから、一生の間にどう乗りこなしていくか、それにみんな必死だし、悩んでいる。その悩む姿がいいなと思うから、僕は、あまり正しいことばかり言う人は信用しないんです。

柴門:あのね、貞淑なおばあさまが歳をとって認知症になると、自分の欲望を爆発させるという話を聞くんです。介護施設で職員を捕まえてとんでもないセクハラをするらしくて。「エッ!?」と驚くような話も身近で聞きました。

石田:それまでの人生の中で抑えてきたから、そういう形で出てしまうのかもしれないね。この国においては、性欲をどう上手に相手に伝えるかというのがひとつの文化で、『源氏物語』の時代だと、性へのエネルギーを恋の歌、和歌という形に変えて男女が送り合ったわけじゃないですか。

 そこへいくと僕たちはそうした文化が痩せてしまっているな。ここ最近の風潮では不倫叩きがすごく激しいけど、これをやればやるほど、草食・絶食が進んで命のエネルギーが衰えていく気がするんですよ。ちょっとゆるめてあげないとしんどいよな、って。

※女性セブン2018年6月14日号

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