去る5月24日、マツダが大幅改良した「アテンザ」(セダンとワゴン)のお披露目会を行った際、同社の小飼雅道社長はこう語った。
「日頃から、社内で『セダンを大切にするんだ』という話をしており、今回改良しました『アテンザ』などのセダンでこそ、最高のパフォーマンスを実現したい。そのうえでクロスオーバーSUVなどの車種に、走る喜びが感じられる技術を横展開していくと。そういう意味でも『アテンザ』は極めて重要なモデルだと申しております。
もう1つ経営的な意義から言いますと、『アテンザ』は昨年、世界で年間15万台以上を販売し、マツダのグローバル総販売台数の1割近くを占める、非常に重要なモデルという位置づけです」
さらに、詳しい商品説明で登壇した「アテンザ」開発主査の脇家満氏も、「『アテンザ』の改良は、2012年に行った全面改良以降では今回が最も大きいものとなります」としたうえで、次にように続けている。
「我々が今回の大幅改良に込めた思いとして、どうしてもお伝えしたいことがあります。昨今、日本でもお客様の需要がSUVにシフトし、セダンやワゴンは売れていないと言われ、確かに国産ブランドのクルマにおいてもその傾向はあります。ですが、一方で輸入車ブランド(のセダンやワゴン)は堅調に売れ続けているということも、また事実です。
この状況に我々は非常に強い危機感を抱いており、『アテンザ』のこれからの生きざまも含めて、どうにかしていかなければいけないという強い思いがあるのです。『アテンザ』なら運転してみたい、所有してみたいと言っていただけるものをご提供したい。それが、今回の商品改良における我々の意思であります」
同業他社も、もちろんセダンタイプのラインナップはいまもあるが、マツダほどはセダン復権について熱く語ってはいないだろう。では、なぜ同社はセダンに強いこだわりを見せるのか。その前に、現在は退潮基調に陥っているセダンやワゴンも含め、これまでの売れ筋タイプの変遷を辿ってみよう。