「きんは100シャア、ぎんも100シャア」から約30年。きんさんぎんさんが身をもって体現した「人生100年時代」がやってきた。どうせ長生きするのなら、ふたりのようにいつまでも健康で楽しく朗らかに生きていたいもの。そのコツをぎんさんの娘さんから検証しました!
5月中旬、29℃の夏日を記録したこの日、名古屋市内の病院では99才と94才の姉妹が健康診断を受けていた。杖を手にしながらも、その足取りはシャンシャンと軽く、颯爽としたもの。そんな姿を見つけた1人の女性が近づいてきた。
「あの、おふたりのファンでして…。テレビでよく拝見していたんですけれど、サインをいただけませんか?」
この姉妹は、伝説のご長寿双子「きんさんぎんさん」の妹の方、蟹江ぎんさん(享年108)の娘たちである。彼女たちもまた、母親譲りのご長寿アイドルとして、地元では知らぬ者がいないほどの超有名人なのだ。
ぎんさんは、夫・園次郎さん(享年81)との間に5人の娘をもうけている。次女・栄さんは3才で病死したが、昨年4月に四女・百合子さんが95才で亡くなる前までは“4姉妹”が全員元気旺盛だったことから、その様子を本誌で『ぎん言』、『続・ぎん言』として連載(2011~2013年)。これをきっかけにテレビ局の取材が殺到し、母にも負けないご長寿アイドルとして世にその名を知らしめたのである。そして今年3月、掃除用品などを販売する『ダスキン』の新聞広告にぎんさんの三女・千多代さんと五女・美根代さんが起用された。
同社はかつて、「きんは100シャア、ぎんも100シャア」という名ぜりふで日本中を沸かせたテレビCM(1991~1992年)を制作したことでも知られる。親子2代の抜擢に、「ぎんさんのDNAはすごすぎる!」と世間は驚愕。同時に記者の胸には、ある思いが去来した。
もし、おふたりの体を調べれば、長生きの秘訣が見つかるかもしれない。そこで、無理を承知で健康診断に密着したいと申し込むと、ふたりはあっさり快諾。取材班は名古屋へ飛んだ──。
この日、健診を行ったのは、千多代さん・美根代さんの自宅から車で10分ほどの『だいどうクリニック健診センター』(名古屋市南区)。
美根代さん「戦後間もない頃、ここはGHQの施設やったんだけど、そのあとは大企業の寮だったで。いつの間にこんな立派な病院になったんだろうって感じだわさ」
千多代さん「ほんとお。普段は病気せんから、病院くるとびっくりするわなあ。あ、でもわし、ここは初めてではないわ。30年前、肺炎で入院したことがあったからな」
美根代さん「なあ~に言っとるの! 肺炎は5年くらい前のことや」
千多代さん「そうか(笑い)」
健診用の服に着替えながらテンポよくおしゃべりを続ける。健診を手伝う病院のスタッフたちも、“生”で見るふたりのかけあいに圧倒され、笑いを堪えられない。