学生数日本一、年間収入は2740億円など、その巨大さがクローズアップされている日本大学だが、もともと、財務状況は悪くない。
年度ごとの儲けを示す経常収支差額は54億円の黒字(2016年度決算・事業活動収支計算書)。早稲田大学や慶応大学ともほぼ同じ水準だ。大学経営コンサルタントの岩田雅明・新島学園短期大学学長がいう。
「しかもキャンパスがバラバラに存在し、土地や建物の資産総額は6845億円に達する。これは慶応の2倍の規模です」
その一方で、先行きに不安もあった。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、大学入試時に受験生が支払う「手数料収入」に着目する。
「早稲田大学の2017年の受験者数は11万5000人、日本大学は11万2000人とほとんど差がありません。これに対し手数料収入で見ると、早稲田大学が45億円に対し、日本大学は43億円で2億円も違ってくる。
理由は“単価”の違いで、日大の一般入試の受験料は3万5000円ですが、法学部や理工学部内で複数学科を併願する場合、2学科目からは半額以下の1万5000円まで割引する。早稲田の場合、ここまでの割引はしません。さらに慶応には割引制度自体がない」
ブランド価値が高い早慶は強気で、偏差値で劣る日大はディスカウントしてでも受験を促す“薄利多売”の路線を取っているのだ。だが、少子化が進めば、「数」を求めるのは難しくなる。