安倍晋三・首相の連続在職日数は「2000日」に迫ろうとしている。小泉純一郎を抜いて、ついに佐藤栄作、吉田茂という「大宰相」に次ぐ歴代3位の長期政権となった。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法改正、規制緩和、日米同盟の再構築など、「大勲位」中曽根康弘・元首相(100)の背中を追いかけてきた。いま、安倍氏は仰ぎ見る存在だった中曽根氏をすでに在職期間で追い抜いたが、国民の目に映る安倍氏の姿は“大宰相”とはほど遠い。
「権力は腐敗する」とは英国の歴史家ジョン・アクトンの有名な言葉だが、長期政権を維持するためには政権の規律をどのように保っていくかが問われる。その観点でいえば、安倍首相と中曽根氏の大きな違いが、自らのスキャンダルへの対応だ。
安倍政権は1年以上にわたってモリカケ疑惑に足を掬われ、国会では国民がウンザリするほど延々と疑惑追及が続いている。事態を泥沼化させている原因は、身内をかばう首相自身のふんぎりの悪さにある。加計学園問題での対応がまさにそうだ。
〈新しい獣医大学の考えはいいね〉
愛媛県文書に記述されていた首相発言が加計学園担当者による“でっちあげ”だったことを学園側が公表しても、安倍首相はなお、「(加計学園に)抗議をすることについては、そもそもの理由がない」「怒るとか怒らないとかということではない」と、「腹心の友」加計孝太郎・理事長をかばい続けている。