昨年は「96敗」という歴史的大敗を喫した東京ヤクルトスワローズ。立て直しを託されたのが、宮本慎也ヘッドコーチと石井琢朗打撃コーチの両氏である。同い年でともに名球会入りを果たした2人は、どのように現状を把握し、チームを再建しようとしているのか。
──現在黄金期ともいえる広島にも苦しい時期はありましたよね。
石井:もちろん。僕が現役時代に移籍した当時がそうでした。ご存じのように(自身が昨年までコーチを務めていた)広島はカープ一色の街で、どこでもチヤホヤされる。阪神みたいなもんです。でもそんな環境でありながら、万年Bクラスだった。あくまでも選手の立場としてですが「それで胸を張って街を歩けるのか!」ということは伝えたことがあります。
ただカープはその低迷期から上昇した。それに僕はベイスターズで、優勝してからの低迷も経験しています。両方を知っているからこそ言えることがあると思う。今のスワローズには、ベイスターズと同じ道は辿ってほしくないんです。
──かつて野村克也監督時代には3度も日本一になり、若松勉監督時代もAクラスの常連でした。当時と今は何が違うんでしょう?
宮本:強い時期のスワローズは理想的なチームでした。オンとオフの切り替えが上手で、選手同士でのいい意味での言い合いができていた。古田(敦也)さんなんか、外野手に向かって「お前がフェンスを怖がるなんて100年早いわ。ぶち当たっても捕れ」とか、ベテラン投手に「30にもなってクイックもできないんだったら辞めちまえ」なんて言ってましたから。