50代以降に急増する泌尿器がん。なかでも前立腺がんは男性のがん罹患数が1位だが、5年生存率は100%に近く、“死なないがん”とも言われている。だが、手術後にEDになる患者がいるなど後遺症は深刻だという。
医師から解説される「医学的な機能の変化」と「実生活への影響」のギャップについては、膀胱がんの手術で人工膀胱を受け入れた人からも多くの声が上がった。定年後の生き甲斐として、全国各地で子供たちに昔の遊びを教えるボランティアに精を出していたMさん(62)も、その一人だ。
「人工膀胱をつけると、4時間おきにトイレに行き、下腹部を圧迫して溜まった尿を排出しなければなりません。医師から説明を受けたときには、4時間おきなら術前のトイレ頻度とさほど変わらないので、ボランティアだって続けられるだろうと楽観的でした」
このとき、Mさんの“手術後のイメージ”に欠けていたのは、人工膀胱の圧迫は昼間だけではなく、夜間にも行なわなければならないことだった。