放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、フリーアナの田中みな実の今後を占う。
* * *
局アナ出身のフリー女子アナの中で、現在もっとも成功しているのは誰かと聞かれたら、その答えは、けっこう難しいと思う。
喋り手として彼女たちがステータスに感じているのは、たとえば帯番組のMCを務めたり、ニュースキャスターとして“報道の顔”になったりすることだろう。
この文脈でいうと、フジテレビ出身の高島彩や長野智子は成功者の一人と言えるのではないか。
先日、その長野さんが『ボクらの時代』(フジテレビ系)に、同局の島田彩夏アナ、元アナの八木亜希子と共に出演していたのを見た。島田アナが『プライムニュースイブニング』を終えたタイミングでの収録となったため、暗闇に光るフジテレビ社屋を一望できるレストランバーで、長野さんは「お台場(のフジテレビ社屋)にはまだ行ったことがない」と言っていた。つまり“河田町時代”しか知らずに退社し、その後はテレビ朝日の報道番組でキャスターをしているからだ。
フジテレビ在局期間も実は4年と短かったのに、『オレたちひょうきん族』(同)での“ひょうきんアナ”の印象があまりにも強かったせいで、念願の報道番組を担当して何年経っても「まだ“ひょうきんアナウンサー”と言われる」と悩んでいた長野さん。
さすがにそんなことを感じている視聴者はもう少ないだろうし、彼女自身、「古館プロジェクト」所属という恵まれた環境に甘んじることなく、積極的な取材と鋭い語り口が売りの日本屈指の女性報道キャスターとしてポジションを築いたことは間違いないだろう。
一方、八木亜希子は、報道キャスターが「ストレス」だったと正直だ。「八木はフジテレビに愛されすぎている」と先にフリーになった先輩女子アナが嫉妬するほど古巣での仕事に恵まれ、人気も絶大な八木ちゃんは、『ボクらの時代』でも、ほんわかした“八木ちゃんワールド”全開だった。
BSフジで、あの反町理氏と『BSフジLIVEプライムニュース』のメインキャスターを、2014年まで丸5年も務めていたことが「ストレス」と言い切ったうえ、その反動で(!)連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)のオファーを引き受けたと明かしている。