関東大震災、阪神大震災、そして東日本大震災……それらの発生前に観測された“奇妙な現象”が今年、関東を中心に日本各地で観測されているという。5月7日には千葉県習志野市にある谷津干潟で、イルカの一種であるスナメリの死骸が発見された。スナメリは絶滅危惧種に指定されており、千葉県で見つかったのは初めてのことだ。
イルカやクジラの座礁と大地震との関連は、かねてから指摘されている。東日本大震災の7日前、茨城県・鹿島灘の海岸に50頭以上のカズハゴンドウが打ち上げられていたのをはじめ、国内では2001年以降、10頭以上の鯨類の集団座礁が10件記録されている。
そのうち3か月以内に震度5を超える地震が発生したのは7件だった。京都大学名誉教授で魚類学者の中坊徹次氏がいう。
「イルカやクジラは音に非常に敏感です。潜水艦のソナーのような仕組みで、自分が出した音波の跳ね返りで距離を測り、障害物や仲間にぶつからないようにしている。大地震が発生する前に海底から発せられる低周波振動や音などによってイルカやクジラの感覚器がおかしくなってしまい、座礁してしまったのかもしれない」
陸上に目を移すと、昨年から今年にかけて、全国でシカやクマの目撃例が急増している。神奈川県相模原市では中心部の住宅街にシカが出没。秋田県ではツキノワグマの目撃件数が昨年の3倍を超えるペースとなっており、県が注意報を発令した。
過去には2004年の新潟県中越地震前にも日本海側でクマが大量発生。2011年3月の長野県北部地震の前にも、震源地近くではクマ、シカ、イノシシ、アライグマなどの出没が相次いだ。東京農業大学教授で獣医師の太田光明氏がいう。