「過去に受けた歯科治療」が歯を失う“原因”になっている……そんな衝撃的な実態をレポートするのは話題の新刊『やってはいけない歯科治療』著者のジャーナリスト・岩澤倫彦氏だ。中高年の「銀歯」の下で、静かな危機が進んでいる。同氏が警鐘を鳴らす。
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虫歯が進行して歯の根まで感染が広がると、根管治療(感染した神経や血管組織等の除去)が必要になる。その後、空洞になった根管に入れる支柱が「ポスト」、銀歯などを冠せる土台が「コア」と呼ばれる(イラスト参照)。
このポストやコアが、硬い金属製であるために、深刻な事態を引き起こしていた。
「歯の内部組織は柔らかい象牙質なので、硬いメタルポストやコアが入ると、10年以上経って歯にヒビが入ったり、割れる“歯根破折”が起きてしまうのです」
こう話す歯科医・眞坂信夫氏(78)は、歯根破折治療の第一人者。他院から紹介されてくる患者も多い。
「いま、団塊の世代を中心に“歯根破折”を起こすケースが目立っています。歯科医の多くは“歯根破折”と診断すると、即抜歯を患者に勧める傾向が強い。歯根破折の治療法が普及していないからです」