この5月、「候補者男女均等法」も成立し、女性の政界進出は時代の急務である。一方で、文筆家・古谷経衡氏はこうした時代だからこそ、女性政治家を見た目で判断するのではなく、「政治家としての資質」をもって見極めるべきだ、と説く。選挙時にマドンナ、○○ガールズと持て囃されるも、当選後、何ら実績を残せないまま埋もれる議員が多いからだ。たとえば古谷氏は、立憲民主党・山尾志桜里氏に手厳しい。一体なぜか。
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山尾志桜里が何を主張しており、またどういった政治的世界観を有しているのか、いくら山尾の言動を追っても、私にはよく分からない。
山尾が一躍全国区の代議士として認められたのは、2016年2月の保育園問題の追及であった。この保育園問題というのは、匿名のブロガーが書いた「保育園落ちた日本死ね」という短い記事を、山尾が国会で紹介して保育園問題(待機児童問題)への対策を舌鋒鋭く安倍政権に迫ったものである。
ところが整理すると、そもそもこの「保育園落ちた日本死ね」という記事は、正確には記事ですら無く単なるブログの匿名プラットフォーム部分におけるレスにすぎないのである。が、山尾がこの「記事」を国会で取り上げたことにより「保育園落ちた日本死ね」は同年のユーキャン流行語大賞のトップ10に選ばれた(その授賞式に山尾は出席した)。
ただの匿名のレスがここまでの展開を見せた背景は、山尾が美人代議士だったからである。腹の突き出た脂臭い民進党の男性代議士が、同じブログを取り上げてもユーキャンはこのスローガン(?)を流行語大賞に選ばなかったであろう。
この匿名の執筆者に朝日新聞がインタビューしていたが、本人は顔を出すことも実名を出すことも拒否している。私は匿名の書き込みに対して、実名を記せ、覚悟を持て、と言うつもりはない。問題は、この書き込みを自らの都合のよい言論を補強する材料としてクローズアップした側だと思っている。
私は、待機児童問題云々は置いておいて、この「記事」を評価するという人間は、そのセンスを疑うひとつの基準にしている。匿名の誰かが書き殴った三行詩もどきを元に学者や言論人が討論して良いと言うことになる。