国内

高齢者施設の性問題 もう避けて通ることはできない

高齢者施設で起きる問題は多岐にわたる

 老人ホームにおける入居者同士のトラブルで、もっともよく起きているのが恋愛にまつわるものだという。これまで、「ないもの」とされてきた高齢者の「愛」と「性」だが、高齢者人口の増加に伴って、無視できない大問題となりつつある。ライターの森鷹久氏が、高齢者の性の現実についてレポートする。

 * * *
「うちは客の四割が六十代以上。特に宣伝もしていませんが、リピーターが多く、高齢者の発散しづらい性欲を受け止めているんだな、という思いでいる」

 大阪府内で派遣型風俗店を営んでいた橋本幸雄さん(50代・仮名)は、10年前から在籍女性が主に30代以上の「熟女風俗」の経営に乗り出した。若者が少なくなるという国内情勢に加え、低賃金労働に甘んじる女性の多さを目の当たりにして「ビジネスになる」と踏んだ。驚いたのは、想定以上に女性から「働きたい」という申し出があったこと、そしてその女性たちの年齢だ。

「若いほうが有利と言われる業界でしたが、今ではうちの店の在籍女性のほとんどが40代。50代や60代の女性も少なくなく、以前は70代の女性もいた。高齢化社会でニーズが変わっているというのは確かにある」(橋本さん)

 その「ニーズの変化」は、ある驚くべき経験が元になり確信したという。

「高齢男性から、入居している福祉施設に“女性をお願いできないか”と電話がかかってきたのです。最初は冷やかしかと電話を切ったのですが、調べてみると実在する施設だし、何度も何度も同じ人からかかってくるので、施設側に確認を取ったんです」

 施設の担当者によれば、この男性は60代の男性入居者で、軽い認知症を発症してはいるものの、日常生活を送る上では特に問題はなく、さらに施設で働く女性職員の体を触ったり、性器を見せつけたりする常習犯であることも分かった。さらに橋本さんをびっくりさせたのは、この施設担当者自身からも「可能であれば来てほしい」とお願いされたことだった。

「いろいろ問題になると思いましたし、なにより、高齢者を相手にするということは大変なリスクもある。それこそサービス中に倒れられて……などトラブルになりやすそうだったので」

 従業員に事情を話したところ、元介護士で40代の女性従業員・A子さんが「面白そう」と手を挙げたというのだから橋本さんはさらにビックリ。

「小規模な施設だったからでしょうが、内々で先方と話をつけ、A子さんを派遣しました。サービスから帰ってきた A子さん に話を聞くと、また行きたい、やりがいがあった、というんです」

 件の60代男性は、前述の通り軽い認知症を発症してはいるものの、体は元気で日常生活に何の問題もなかった。それにもかからず、施設の小部屋に一日中閉じ込められ、体操したり読書をしたりと、いかにも老人らしい、おだやかな娯楽だけでは、うっぷんが溜まる一方だった。男性の唯一の楽しみと言えば、使い古したガラケーでアダルト画像を見ることのみ。いけないとはわかっていても、女性介護士の体を見ると気持ちが抑えらない、などと漏らしたというのだ。

「それからも定期的に男性はA子さんを呼んでいるようですが、さすがに施設側も問題あり、と考えているようでした。そんな時、A子さんが男性に“道具”を差し入れていたことがわかったのです。その男性の口コミにより、男性入居者の間で“道具”が流行していたそうです(笑)」(橋本さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

屋根工事の足場。普通に生活していると屋根の上は直接、見られない。リフォーム詐欺にとっても狙いめ(写真提供/イメージマート)
《摘発相次ぐリフォーム詐欺》「おたくの屋根、危険ですよ」 作業着姿の男がしつこく屋根のリフォームをすすめたが玄関で住人に会ったとたんに帰った理由
NEWSポストセブン
人が多く行き交うターミナル駅とその周辺は「ぶつかり男」が出現する(写真提供/イメージマート)
《生態に意外な変化》混雑した駅などに出没する「ぶつかり男」が減少? インバウンドの女性客にぶつかるも逆に詰め寄られ、あわあわしながら去っていく目撃談も
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
大の里、大谷
来場所綱取りの大関・大の里は「角界の大谷翔平」か やくみつる氏が説く「共通点は慎重で卒がないインタビュー。面白くないが、それでいい」
NEWSポストセブン
悠仁さまの通学手段はどうなるのか(時事通信フォト)
《悠仁さまが筑波大学に入学》宮内庁が購入予定の新公用車について「悠仁親王殿下の御用に供するためのものではありません」と全否定する事情
週刊ポスト
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
CM界でも特大ホームラン連発の大谷翔平
【CM界でも圧倒的な存在感の大谷翔平】「愛妻家」のイメージで安定感もアップ、家庭用品やベビー用品のCM出演にも期待
女性セブン
堀田陸容疑者(写真提供/うさぎ写真家uta)
《ウサギの島・虐殺公判》口に約7cmのハサミを挿入、「ポキ」と骨が折れる音も…25歳・虐待男のスマホに残っていた「残忍すぎる動画の中身」
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン