トップ会談によって、朝鮮半島はどう動くのか。武力衝突か、緊張緩和か。中朝国境では中国の基地局の電波が北朝鮮の領土まで及ぶ。国境近くに住む北朝鮮住民の中には中国人と商売をするため中国の携帯電話を持つ人がいる。韓国人ジャーナリストの朴承ミン氏が、3月から4月にかけ、そんな北朝鮮住民を探し直接電話をかけて生の声を聞いた。名前は全て仮名にした。
●ハ・ドンス(男性・63歳・不明)の話
──公開処刑をいつ、どこで見たか。
「北朝鮮にはまだアヘンする人(麻薬使用者)が多い。彼らを集めて処刑するところを昨年7月中旬頃に見た。安全部(警察)や保衛部で麻薬使用者を捕まえ、中毒者を選び出し、恵山の飛行場の奥まったところへ5人を連行した。
安全員(警察官)約10人が中毒者5人をトラックに乗せてきた。銃殺の場所には事前に杭(柱)5つが立てられており、その杭に1人ずつ立たせて括った。そして5人の安全員が自分の前の人を小銃で撃った。遺体は麻布でくるくると巻いてトラックに乗せられた」
──これまで公開処刑を直接目撃したのは何回?
「苦難の行軍(*)の時にも沢山処刑しており、私は5回以上見た」
【*1990年代後半に北朝鮮で起きた、食糧危機に伴う社会パニックのこと。餓死者数は数十万とも200万とも言われる。】