「今は営業や講演があるため面白おかしく話しますが、5年くらい前まではまったく口にしませんでした。二度と経験したくない出来事。半端なプレッシャーではなかったし、サッカー選手になったことを後悔しました。負けたら日本に帰れないと本気で思っていました。ビデオも手足が震えて見られませんでしたから。5年ほど前、娘が持っていた歴史の図鑑にこの試合のことが記されているのを目にして、『そっか、歴史の1ページを作ったのか』って思い、講演でも喋るようになりました」
高校時代、自らサッカー部を創部し、高3の時に県大会で3位となる。現在はJ2を目指すべく資金集めに東奔西走中。壁を壁とも感じず、いつも明るくプラスに考える。そんな岡野にGMとしての幸せは何か聞いてみた。
「仕事が終わって、一杯目の生ビールを飲んでいるときが“今日も終わった”って感じで一番の幸せです(笑い)。初戦のコロンビア戦は解説者としてロシアに行きます。僕も代表選手たちも必死になってやるだけです。試合後に美味しいウォッカが飲めたらいいですね」
■おかの・まさゆき/1972年7月25日生まれ、神奈川県出身。MF、FW。1998年フランスW杯出場。現ガイナーレ鳥取代表取締役GM。新刊『サッカーをあきらめない──サッカー部のない高校から日本代表へ──』(KADOKAWA)が発売中。代表キャップ数25。
※週刊ポスト2018年6月22日号