念願のマイホームを手に入れた働き盛りの頃は、一国一城の主として、“城”の大きさや、こだわりの調度品が誇りだった。だが、住宅ローンを払い終える頃になると、子供たちはそれぞれに“城”を建てて巣立っていく。子供部屋は物置同然となり、家が広いと庭の手入れや部屋の掃除も大変、瓦の葺き替えから外壁の補修にもカネがかかる。
もしかしたら、“古城”を捨てて、引っ越しを考えた方がいいかもしれない──。だが、いざ引っ越すとなると、60歳以上にとって最も難しいのは家財の整理だ。
3LDKから2LDKに転居する場合、「夫婦2人の生活空間を確保するには、荷物の半分は捨てる必要がある」(運送業界関係者)といわれる。ましてや広い戸建てからの転居となると、持って行ける荷物は3分の1以下に限られる。住宅ジャーナリストの山下和之氏はこう話す。
「引っ越し業者の中には、シニア向けのサービスを行なう業者が増えています。引っ越しでは最低2~3社に料金の見積りを依頼するのは鉄則ですが、その際に安さだけではなく、荷物の整理や、一時預かりなど自分に合ったサービスの充実度を確認して、うまく引っ越しと同時に荷物の整理を済ませるのも手です」
大手引っ越し業者は様々なプランを用意している。