中国では医薬品や食品の原料としてゴキブリを飼育する企業が増えている。すでに、胃腸薬と胃がんの薬として、中国内の4000もの病院が使用しているほか、一般の医薬品店にも卸されている。また、ゴキブリは全体の6割がタンパク質で構成されていることから、高タンパク質の料理の食材としても注目。四川省政府は同省内の「ゴキブリ産業」の経済効果について、約43億元(約800億円)と見積もる報告書を発表している。
四川省西昌市といえば、中国のロケット発射基地がある場所として有名だが、最近は「ゴキブリ産業の発祥の地」として中国メディアにしばしば登場している。
中国紙「光明日報」や香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、西昌市で、ゴキブリの飼育工場を経営しているのは医薬品製造会社の「好医生薬品」。
工場は現在、年間で約60億匹のゴキブリを飼育。温度や湿度、風速や風向など、飼育条件も細かく80項目にわたって設定されている。20年前にゴキブリの飼育が開始された際の工場の広さは約20平方mだったが、いまや、その600倍の1万2000平方mにも拡充された。
中国ではゴキブリに限らず、昔からサソリやムカデが医薬品の原料として使われてきたが、ゴキブリの場合、切り傷や擦り傷、やけどのほか、口内炎や胃潰瘍、あるいは胃がんの薬としても用いられている。同社の主要製品は「康復新液」や「美洲大蟻」で、中国内の医薬品店で売られている。
売れ行きが好調なことから、第2飼育工場を来年中に新設することにしており、飼育数は現在の工場の3~5倍になる予定だという。