毒蝮三太夫が集まった聴衆に「青梅街道みたいな顔しやがって!」「あんぽんたんみたいな顔しやがって!」と鋭い突っ込みをしたかと思えば、来場した夫婦には「愛してるって言ってやれ!」などと、普段口に出せない愛情を語らせる――。
1969年10月に始まったラジオ番組『毒蝮三太夫のミュージックプレゼント』(TBSラジオ)は、今年10月で50年目に突入する。『ミュージックプレゼント』というタイトルなのに、曲はフルコーラスどころか、1番すらまともにかからないことがほとんど。毒蝮と集まった一般の人たちのやり取りが番組最大の魅力だ。毎回、見ず知らずの人たちと話し、アドリブでその場を笑いの渦に巻き込む。素人を一瞬にして、面白い人にしてしまう。
人に話を聞くコツについて、毒蝮は著書『人生ごっこを楽しみなョ』(角川新書)でこう語っている。
〈人に話を聞くときはコツがあって、それは無駄話をするってことだよ。無駄なことは意外と大事だったりする。無駄がないと、人生に潤いがなくなるよ。でも、いまの時代は無駄なことをひたすら排除してるよな。効率ばかり追い求めて、楽して飯を食べようって感じだよね〉
同番組は、2016年3月までは『大沢悠里のゆうゆうワイド』で月曜から金曜まで、同年4月からは『生活は踊る』で月曜から木曜まで放送されていたが、今年3月限りで午前帯の『ジェーン・スー 生活は踊る』を離れ、4月から金曜午後帯の『たまむすび』内に移動した。