誰でも、強いストレスを感じ、心が折れそうになることはある。そんな苦しい時、どうすればいいのか。日本一過酷な大学といわれる防衛大学校での学生の成長を描く少年漫画『あおざくら──防衛大学校物語』の著者・二階堂ヒカル氏と、同大OBでビジネスマンに防衛大で培ったメソッドを教えている濱潟好古(はまがた・よしふる)氏が、厳しい環境の中で人間が成長する過程について語り合った。白熱の“防衛大対談”──。
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二階堂ヒカル(以下、二階堂):作品づくりのために防衛大生、OBの方、家族の方などにお話を聞いていると、本当に過酷な環境で生活しているんだなと感じます。特に24時間体制で行われる上級生からの厳しい生活指導は他に類を見ないものですね。
濱潟好古(以下、濱瀉):防衛大時代、私は“ダメっ子”だったので…(※注)。時間を守るという基本的なことから、靴磨きやアイロンがけなどの身の回りのこと、食事の配給などの全体にかかわることまで、何をやっても叱られました。全寮制、絶対縦割り社会の中で、注意され、否定され…常にストレスフルで精神的に追い込まれていましたね。
【※注/防衛大では、できの悪い生徒を“ダメっ子”と呼ぶ。逆に成績優秀な生徒はデキっ子と呼ばれる】
二階堂:しかも、防衛大で1~2を争うほどキツイ「短艇委員会(防衛大のカッターボート競技のクラブ)」にいらっしゃったんですよね。
濱潟:短艇委員会って言うと、上級生にも同情されるくらいでした(笑)。私が在籍していた頃は、授業が終わったら隊列を組んで足並みそろえて寮に帰るのですが、短艇委員会だけは練習場所までダッシュでした。しかも上級生に抜かれたらアウト。抜かれたら……(殴るしぐさ)。
私は何度も抜かれて、先輩たちから愛の鞭を何度も浴びていました。ただ、逆もしかりです。下級生が上級生を抜くときもある。そんなときは、抜かれた上級生も部内で怒られていました。学年関係なくみんな必死に取り組む組織でした。
二階堂:壮絶ですね……。