年をとると薬と健康食品を併用するという状況は増えがちだ。その場合は、健康食品単体の“副作用”だけ気をつけていれば良いというわけではない。薬との組み合わせによっても注意すべき作用が起こる可能性がある。
トクホ(特定保健用食品)は1991年のスタートから今年3月末時点で表示を許可された品目が1082点ある。市場規模は2017年時点で6586億円と高い水準を維持している(日本健康・栄養食品協会調べ)。
その中でまず気を付けたいのが、「血糖値が気になり始めた方に……」などの謳い文句で売り出されている食品に含まれる難消化性デキストリン。成分名としては馴染みのない名前だが、主にトクホのお茶やカロリーゼロのノンアルコールビールなどに使われている。薬剤師で医薬情報研究所の堀美智子氏はこう指摘する。
「難消化性デキストリンは消化管で糖の分解、吸収を遅らせる働きがあり、食事の時に摂ると効果的です。
その作用は穏やかですが、基本的には糖尿病患者の食後の過血糖を防ぐα-グルコシダーゼ阻害薬と同じ性質を持っています。そのため両方を同時に摂取するとお互いの作用が重複し(相互作用)、腸内の未消化の糖質が増加して発酵し、腸内ガスが増えたり、腹部に膨満感(張り)が出ることがあります」
難消化性デキストリンを含む商品は多種多様のため、知らず知らずのうちに消費者は多量に摂取してしまっている傾向がある点に要注意だ。