映画『パンク侍、斬られて候』は、芥川賞作家・町田康さんの同名小説が原作。浪人の掛十之進が、自らがまいた種によって生まれる騒動に七転八倒する、というストーリー。型破りすぎる内容で、6月30日の公開を前に注目を集める同作の見どころについて、一足先に試写会で観てきたコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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そんなわけでいよいよ公開が近づいた映画『パンク侍、斬られて候』。原作・町田康、脚本・宮藤官九郎、監督・石井岳龍、主題歌がセックス・ピストルズ。でもって、主演が綾野剛。事前に公開されたモノクロの綾野パンク侍ビジュアルもタダモノではない雰囲気ぷんぷんで、こりゃ、大変なことになると思いつつ、試写で作品を見たら、やっぱり大変なことになっていた。
物語は、ある街道にひとりの浪人が現れ、盲目の娘と物乞いをする巡礼のおじいさんを突然、斬りつけるところから始まる。その浪人こそが掛十之進(綾野剛)。「超人的剣客なんです私」と言い放つ掛は、「この者たちは、いずれこの土地に恐るべき災いをもたらす」と言い出すのだが…。この事件をきっかけに、掛の前には邪魔者は「ガンガン弾圧すりゃいいんだよ!」と言い切る「超キレモノ!」筆頭家老内藤(豊川悦司)はじめ、「超ゆとり!」の若侍・幕暮(染谷将太)、「超カリスマ!」の茶山半郎(浅野忠信)、「超マドンナ!」のろん(北川景子)ら濃すぎるキャラが次々登場。ついには「人間VS人間VS猿」の壮絶な戦いに発展していく…つっても何がなんだかわかりませんね。
なにしろ、主演の綾野剛本人が「脳内破壊映画」とか「宣伝不可能」とか言ってるし。その横で染谷将太は「撮影の半分くらいはふんどし一丁だった」「毎晩寝られなかった」と喜んでいるのか、戸惑っているのかよくわからぬ表情。北川景子は猿を抱くシーンでとても癒され「猿は女性に響く」とにこにこ。かつてこれほど、出演者の言ってることにまとまりがない作品があったかしらん。