日本一過酷な大学といわれる防衛大学校。そこでは上級生による厳しい“指導”が行われているという。防衛大を舞台にした少年漫画『あおざくら──防衛大学校物語』の著者・二階堂ヒカル氏と、同大OBで『防衛大式 最強のメンタル』の著者・濱潟好古(はまがた・よしふる)氏が、「理不尽な指導」について語り合った。
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濱潟好古(以下、濱潟):『あおざくら』8巻では初の校外訓練で、「上級生がいなくて極楽だ~」というシーンが描かれていましたね。実際にそうでした(笑)。理不尽な指導をする上級生がいないのは天国に感じましたね。日本広しといえども、「理不尽なことをする」って断言している組織はないと思います。
二階堂ヒカル(以下、二階堂):濱潟さんが所属されていた短艇委員会(カッターボートのクラブ。防衛大でも1~2を争うほど厳しいクラブ活動と言われている)でも、理不尽なしごきがありましたか。
濱潟:短艇委員会は“食いしばき”がありました。山盛りのご飯で、食べている途中でさらに上級生が盛ってくる。『日本昔ばなし』で見たことあるような、山盛りの茶碗です(笑)。減らないし、苦しくても食べるしかない。理不尽だと思うんですけど、漕ぎ手はパワーをつけるために必要なんです。逆に、号令をかける役割の艇指揮と、舵を握る艇長はほとんど食べない。自分が重さになってはいけないので。全日本大会前には固形物を食べられなくなって、授業中に倒れたこともありました。
二階堂:『あおざくら』でも、先輩が中華街に連れて行って店を何軒もはしごして「どんどん食え!」っていうシーンを描きました。気持ち悪くなるほど食べさせられるんですよね。