6月20日、都内某所で「jouz(ジョウズ)」と名付けられた加熱式たばこの新ブランド発表会が行われた。
これはアイコス専用たばこを吸うための加熱式デバイス(本体/6680円と6980円の2機種/7月20日正式発売)で、フィリップ・モリスとライセンス契約を結んでいない、いわゆる非純正品だ。技術開発にはスマホのモバイルバッテリーや急速充電器などの開発・販売を行うAnker(アンカー)が全面的にバックアップしたという。
ジョウズ・ジャパンの代表取締役に就任した井戸義経氏(アンカー・ジャパン社長)は、こう自信の程をのぞかせる。
「アンカーの強みであるバッテリー技術を活用して、これまで加熱式ユーザーの多くがストレスを感じていた充電時間の問題を解消させました。われわれが開発したジョウズを使ってアイコスを吸うと、1度の充電で最大20本の連続吸引が可能です」
だが、加熱式デバイスといえば、各たばこメーカーが長年の開発期間を要して実現させた“心臓部”。そこに割って入るのは容易な戦いではない。
「もちろんわれわれはチャレンジャーですし、アイコスのユーザーを引きはがしたいと考えているわけではありません。ユーザーの様々な声に基づき、優れた製品の選択肢を増やしていくことで、加熱式たばこ市場全体の底上げに貢献できたらと思っています」(井戸氏)
もっとも、加熱式たばこの将来性は必ずしも明るい話ばかりとは限らない。主流煙や呼気に含まれる有害物質の種類や量、健康影響がはっきり解明されているわけではなく、今後の受動喫煙対策では、紙巻きたばこと同様に規制が強化されていく可能性もある。
さらに、今年10月に行われるたばこ増税に合わせ、加熱式の専用たばこも値上げが予定されている。本体機器の寿命による買い替えコストを含めたユーザー負担が増せば、普及の勢いが鈍化していく恐れはあるだろう。
喫煙率が20%を切る中、加熱式たばこが嗜好品の新しい文化として日本人のライフスタイルに根付いていくかどうかは、まだ予断を許さない状況といえる。