アメフト部の悪質タックル問題は日本大学の歪な内情を次々と白日の下に晒している。6月11日、日本大学教職員組合は会見を開き、田中英壽理事長ら幹部の辞任を求めた。
賛同者752人のうち「匿名」が456人──。経営陣の刷新を求める教職員組合が明らかにした、「要求書」への署名の内訳だ。会見で記者に配布された資料には、辞任要求に賛同したメンバーについて、わざわざこんな注記があった。
〈報復人事の恐れがあるので、大学の非常勤講師・助教・助手・職員や高校教員などに関しては(中略)すべて公開「不可」扱いといたします〉
その事情について、同組合文理学部支部の初見基・支部長(教授)は会見で「呼びかけに応じたいという人も怯えている。名前を隠しても(大学側に)探り出されて報復されるのではないか」と述べた。
そもそも組合を通じた活動に対しての“報復”があれば、不当労働行為にあたるはずだ。その恐れを組合が公言し、匿名を希望しない者の署名まで公開を自粛してしまうところに、この組織の異様さがある。
日大における教職員組合の力は目に見えて小さい。そのウェブサイトで「ほぼすべての日本大学の教職員は加入資格があります」と謳っているが、大学や付属中学・高校など7200人にも及ぶ教職員のうち、加入しているのはわずか250人。組織率は4%に満たない。