いわゆる“アメフト悪質タックル”問題で揺れた日本大学関係者の間で語り継がれる“人事異動”がある。田中英壽理事長がナンバー2の常務理事として実権を掌握した2005年。その時に大学経営の主導権を巡り敗れたライバルの常務理事が、東京・九段南にある本部2階の窓のない資料庫の整理係に異動になり、最後は東京・稲城にある総合グラウンドの守衛に追いやられたという。
また、数年前には田中理事長のやり方に批判的な学部長がいたが、その学部長を支える東京勤務の事務職員が突然、福島県郡山市の工学部に異動になったという。
そうした「報復人事」がある一方で、田中体制をしっかりと支える者にとって“恩恵”となるような制度も用意されている。
日大は2012年から「理事長特別研究・学長特別研究」という助成事業を始めている。制度を説明するウェブサイトには「本学の教育研究及び運営にも積極的に活用できる研究を推進する」として、「組織運営、危機管理、人事管理、広報管理」など幅広く例示され、助成規模も判然としない。
学識者である「学長」の指定する研究助成とは別に、事務畑から大学トップとなった「理事長」の指定する特別研究があるところに、意味があるという。元理事が、こう指摘する。