芸能

樹木希林 日常を常に俯瞰で見る視点は森繁さんから学んだ

樹木希林が森繁久彌さんから学んだことを語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、出演映画『万引き家族』『モリのいる場所』が公開中の女優・樹木希林が、ドラマ『七人の孫』主演の森繁久彌さんから学んだことについて語った言葉をお届けする。

 * * *
 樹木希林は文学座の若手だった頃から率先してテレビCMに出演している。

「その頃のいい役者の条件は『一に舞台、二にせいぜい映画、テレビは邪道だけどしょうがない。CMやるなんていうのは恥ずかしいこと』と言われていました。そういう時代にCMの話が来たの。地方のローカルCM。

 それで『やります』って。舞台は一ステージ百八十円だったから、そりゃCMの方が良かったわね。先輩の女優さんに『芸が崩れる』とか注意されたけど、もともと芸なんてないんだからさ、崩れようがないのよ。で、『いいのいいの、三流でも四流でも』って気にならなかった。価値観が違うから」

 日本のホームドラマの元祖と言われる森繁久彌主演『七人の孫』(TBS)にレギュラー出演、注目されることになる。

「あれは錚々たる劇団とかいろんな場所のスター候補がスターになるべく孫役に選ばれていくわけよ。で、七人が揃ったんだけど、みんなスターだから動かないわけよね。話を運ぶ役割がいない。それで、当時ペーペーだった久世光彦さんが『女中が一人いないと運びが悪いから、どこかで斡旋してこい』と言われて、文学座に来たの。そこに私たち研究生が五人くらいいて、『誰か残れる人いない?』と言ってきたんだけど仕出しみたいな役だと思ってみんなやりたがらなくて。私は『大丈夫よ』って。それで行っただけなの。まだ時間があったからね。役をやるなんて意識はなくて」

 日常空間で展開されるホームドラマは、樹木希林の育った新劇の非日常とは芝居が異なる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン