「3戦全敗」の予想もあったなか、見事に決勝トーナメント進出を果たした西野ジャパン。本誌・週刊ポストも6月11日発売号で〈期待感ゼロ〉〈W杯開幕を目前に、ここまで日本代表への期待が高まらないことも珍しい〉などと書いてしまった。素直に謝るしかない。
その翌週、本誌6月25日発売号で本田圭佑(32、パチューカ)について、「活躍できる場所はない」とコメントしていたのは、メキシコ五輪得点王、“世界のカマモト”こと釜本邦茂氏(元サッカー協会副会長)だ。このコメントの取材後のセネガル戦で、本田は値千金の同点ゴールを決めた。恐る恐る、「一緒に謝りませんか?」と聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「西野監督に“ごめんなさい”という記事を書く? そんなことやる必要はない! たまたま大事な初戦が開始3分で10対11になり、そのおかげで勝てた。それで勢いに乗ったことが大きかったわけですからね。戦力分析を大きく外したとは思っていませんし、その評価は1次リーグを終えた今も変わらない。
ただ、本田を90分フルに使うのでなく、残り20分のスーパーサブとして使うのは機能しましたね。西野監督の采配が的中したということでしょう。各選手の役割がはっきりして、責任をもって自分のプレーをしようとしている」
たしかに、西野監督の判断は冴え渡っている。決勝トーナメント進出のかかったポーランド戦の終盤には会場から大ブーイングを受ける露骨な時間稼ぎに走ったが、他会場の展開次第では“勝ちを放棄した挙げ句に敗退”となりかねない大博打だった。賛否はあったが、結果は出した。この結果に面食らっているのは、人間だけではない。