先日、新幹線内で唐突に起きた殺傷事件。恐怖で身は固まるが、自分の身は自分で守るしかない。こんな時、生死を分ける一瞬の防衛術とは? 危機管理に詳しい丸谷元人さんが語る。
「身を守る時は原則として、①逃げる②隠れる③戦うという順序を守ることが大切です」
例えば新幹線乗車時、今回のような凶悪事件に遭遇したら、最初にやるべきことは一目散に逃げることだという。
「こういう時は、ほとんどの人が恐怖で固まってしまうものですが、何とか身をほぐし、犯人と逆方向へ逃げるようにしてほしい。目の前にパソコンやかばんなどがあったとしても、すべて放り出して、身の安全を守ることが先決です。隣の車両に移動できたら、危険が迫っていることを他の乗客に周知するのがよいでしょう」
逃げられず、どうしても犯人と対峙する場合はどうすればよいか。元警視庁SPの金井祐一さんが話す。
「バッグを振り回したり、傘を犯人に向けて突き刺したり、手近にあるものを使って相手との距離をとりつつ、逃げる時間を稼ぐ。その間に、とにかくどう逃げるかを考える。間違っても、犯人に立ち向かってはいけません。
また、トイレに逃げ込むのも手ですが、犯人が絶対に追いつけないと確信できる時以外は、追いつかれた時に逃げ場を失うためかえって危険です」
2008年に秋葉原で起きた通り魔事件では、容疑者が逮捕・連行されるところを写真におさめようと周囲に人だかりができた。犯人にカメラを向ける行動について丸谷さんは、「興奮している相手をさらに興奮させる行為。絶対にしてはいけない」と警告する。
長距離バスの場合はどうか。
「新幹線のように逃げる場所がなく、空間も狭いため逃げるのは一層困難。凶悪事件が起きてしまったら、とにかく犯人を刺激せず、要求に従うしかありません。これは飛行機内での場合も同様です。
バスの場合、犯人から見えない位置にいるなら、携帯で家族や警察と連絡を取りましょう。ただ、犯人に見つかれば報復を受ける可能性もあるため、絶対に無理してはいけません」(丸谷さん)
金井さんもこう指摘する。
「立てこもりやハイジャックなどの場合、気をつけなければならないのが警察が突入してきた時。強烈な閃光弾で両側の窓が叩き割られたり、犯人が武装している場合は警察も銃を使うことがあるため、流れ弾に当たる可能性もある。両手で頭を抱え、姿勢を低くして身を守りましょう」
バスの座席は、非常口に近く全体が見渡せる後ろの方の席がよく、飛行機の場合は乗務員が比較的多い前方か後方の席にしておくとよいという。
※女性セブン2018年7月12日号