昨夏まで熊本・秀岳館を率いた鍛治舎巧(現・県立岐阜商業監督)は、大阪のオール枚方ボーイズの監督時代、大阪桐蔭主将の中川卓也や、俊足・強打・強肩の藤原恭太を指導した。
「中川も藤原も、共に投手兼任で、135kmを超えるボールを中1の頃から投げていた。身体能力が高く、藤原はとにかく足が速い。センバツは足の故障もあって、打順が4番でしたが、1番の方が脅威です。昨年のセンバツで秀岳館が大阪桐蔭と対戦した際は、彼を5打数無安打に抑えた。他の打者に打たれて1対2で負けましたが、藤原を抑えれば大阪桐蔭の得点率がガタッと落ちるのは間違いない」
打倒・大阪桐蔭に心を燃やす強豪校の指揮官は、ほんのわずかな死角を突かんとする弱者の兵法を懐にしのばせていた。
(文中敬称略)
取材・文■柳川悠二 撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2018年7月13日号