「日本の自動車関係の税金は高すぎる。これをとにかく何とかしたい」──トヨタ自動車社長で日本自動車工業会(JAMA)の会長でもある豊田章男氏が最近頻繁に口にするのが、日本の自動車税についてだ。JAMA調査によれば、1.8Lの新車を180万円で購入し、13年間使用した場合、ユーザーが負担する税金は170万円にも及ぶ。一体、なぜここまで高いのか。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏が解説する。
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日本は世界でも有数の自動車立国です。資源のない国ですが、技術や努力をもって世界中に自動車を売りまくってお金を稼いでいます。ところが、そんな国であるのに、最近では日本の若者がクルマを買わないという、いわゆる「若者のクルマ離れ」が問題視されるようになっています。
若者がクルマを買わなくなったのには、いろいろな理由があります。収入の問題もあるでしょうし、クルマ以外にもっと楽しいものがあるのかもしれません。しかし、その理由の一つとして、間違いないのが「維持費の高さ」でしょう。
走らせればガソリン代金もかかるし、駐車場も必要。そして、なによりも税金が高い。クルマを購入するときにも税金を払わなくてはいけないし、走らせなくても毎年税金がかかる。さらに2年ごとの車検で、またも税金を支払わなくてはなりません。
その頭の痛いクルマの税金ですが、その内容がでたらめすぎるということをご存知でしょうか?
まず、自動車には数多くの税金が課せられています。自動車取得税、自動車税、軽自動車税、自動車重量税、ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)、軽油引取税、石油ガス税、そして消費税です。
この税負担は世界でも、とびぬけて高いもの。購入時に支払う税額を比べると、日本はアメリカの約35倍、ドイツならば約3倍、イギリスでも約2.5倍も高いのです。
しかも、日本の自動車の税金は、その内容がひどい。数ある自動車税のうち、「自動車を所有」することに課せられる税金は自動車税と軽自動車税のみ。その他は、実のところ、ある目的を持っていました。それは「道路を作るため」です。