いつだったかある評論家の文章で、「社会的に成功している女性には、多かれ少なかれ父親から愛された人が多い」と読んだことがある。これも同じで、厳しいビジネスの世界などで生きていく女性が心折れないためには、幼い頃、父親から「上等、上等」とほめられた経験が必要なのかもしれない。
「ああ、ウチの娘はもう大きくなってるから手遅れだ」と言わないでほしい。たまには食事にでも誘い、「キミは昔からお父さんの自慢の娘だったんだよ」と言ってみてはいかがだろう。娘は「やめてよ、キモい」と言いながらも、悪い気はしないはずだ。鴎外のようにカッコよく生きてなくても、だいじょうぶ。娘に“折れない杖”を贈ることができるのは、パッパであるあなただけなのだ。
※週刊ポスト2018年7月13日号