退廃的な温泉宿の一角に艶めかしい姿の女がひとり。一見、昭和のポルノ映画を思い起こさせるこのポスター、実は52才の熟女カメラマンがグラフィックデザイナーの夫とともに作ったもの。女としての記録写真が話題となる、その背景は?
「50代の自分をあんなに潔くさらけ出せるなんて、カッコいい!」(27才・アパレル)
「私もこんなふうに年を重ねていきたいと勇気をもらえました」(29才・フリーター)
今、20代後半の女性から、称賛されているのが、熟女カメラマンのマキエマキさん(52才)。エログロ風でちょっぴり笑えるその作品からは、昭和のピンク映画を彷彿とさせられ、レトロ感もたっぷり。今年3月に行われた、女性によるエロス表現の発表展覧会『第5回 東京女子エロ画祭』では、大胆なホタテビキニ姿などを写した『自撮りカレンダー熟女』が見事グランプリを受賞した。
だが、これには当のご本人も、少々驚いた様子。なぜなら、自撮り作品を撮り始めた理由が、アート的なエロスとは関係のないところにあったから。
「閉経が怖かったんです。女性としての性を失うことが寂しくもあり。だから、女性としての姿を残していきたいなと思ったんです」(マキエさん)
女の記録を残したい。そこから始まったマキエさんの思いきった作風が、人知れず加齢への不安を抱える女性たちの心に響いている。
3年前、閉経も間近に迫ったころ、マキエマキさんの自撮り撮影はスタートした。一体、そこにはどんな心境の変化があったのだろう? 20代からの“女の歩み”。じっくり聞いてみました!
──そもそも、自撮りを始めることになったきっかけは?
最初は冗談半分だったんです。49才のとき、コスプレ用のセーラー服を着て自撮りして投稿したら、これが意外にも好評でして…。図に乗って一度やってみたかったホタテビキニも自作して、気がついたら海辺で自撮りしてました(笑い)。
──それが初の合同展覧会での自撮り作品デビューとなったんですね。
ええ。撮影した時点ではまだ“痛いオバハン”だから、どっかで面白いテイストにしとかないとダメかなって身構えてました。